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今日の熱海日和

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総合サポート担当佐野純平 第28回新春講演会講演録【前編]

熱海日和 第28回新春講演会 講演録

 

(今回は総合サポート佐野純平の想いが溢れ出た講演録でした。やはり自分が大尊敬する車椅子ユーザーの先輩方の講演は,佐野純平にとってもこれだけの思い入れがあるものだったんだなと改めて思いました。が、あまりにも長すぎる…笑笑

今回は2回に分けて講演録をお届けします‼️)

 

2月1日(土)に行われました公益財団法人舩井幸雄記念館・第28回講演会

「あなたにとって一番の幸せに気づく「幸感力」のご報告です。

 

ゲストには、『車椅子トラベラー・HISユニバーサルツーリズムデスクスペシャルサポーター』 三代達也さんと『ACCESSIBLE JAPAN(行けるよ、ニッポン)』運営者 グリスデイル・バリー・ジョシュアさんにお越しいただきました。

 

 

みなさまは「バリアフリー」という言葉を聞くとどのようなものが思い浮かびますか?

 私はスロープや点字ブロック、エレベーターや車いすや杖であったり……

そのようなものが思い浮かびますが、どうやら違うようです!

お2人によると「バリアフリー」とは「人の心」だと‼️

お2人が素晴らしいお話しをして下さいましたのでご紹介します。

 

第一部は、三代達也さんです。

 

三代さんは、18歳の時にバイク事故で首の骨を折り頸髄を損傷され、以来車いすを使用して生活されています。

社会人時代に訪れたハワイ旅行での経験から日本よりはるかに進んだバリアフリーに触れ世界観が広がったそうです。

たくさんの人に海外の魅力を届けるべく、車椅子単独世界一周を決意。 約9ヶ月間23カ国42都市以上を回り、世界一周を達成されます。

帰国後は車椅子トラベラーとして世界での旅の話など全国で講演活動を行いながら、旅行会社と提携し、国内外に赴き、車椅子でも旅行しやすいツアー造成の監修などを行なわれています。

 

 三代さんからは、入院中に出会った人生の師と呼べるある男性との出会いや車いすで単独世界一周を志すきっかけとなったハワイ旅行のお話し、また現在の活動についてお聞きしました。

 

・【入院生活最後の病院で出会った男性とのお話】

バイク事故後、治療やリハビリのために2年間、いくつかの病院に入院して、自立生活のための練習をされていたという三代さん。最後に入院されていたのは静岡の病院だったそうです。

同じ病室の男性に「お前、そんなに身体が動くのに、甘ったれてるな!」と

言われたそうです。

なぜなら、そこの病院では自分より障がいの重い人たちがさまざまな工夫をして自立して生活をされていたからです。

それをきっかけに、その人生の師となる男性はいろいろと気にかけて言葉をかけてくださったようで、一人暮らしにもチャレンジして、さまざまな課題を乗り越えて、少しずつできることも増え前向きに生きられるようになったといいます。

当時は分からなかったが、その男性がよく話していた「チャンスはいくらでも足元に落ちている!でもそれに気づき、そのチャンスをつかみ取れるかはお前次第だ!」という言葉を、今もとても大切にされているそうです。

 

・【世界一周を志すきっかけとなったハワイ旅行】

今では少しずつ意識が変わってきていますが、三代さんがバイク事故に遭い車いすを使って生活するようになった20年前の日本というと、ほとんどバリアフリーという言葉は認知されておらず、設備なども普及しておらず、とても大変で苦しい日々だったようです。

のちにご講演いただいたジョシュさんのお話しにもありましたが、今の日本では都会にいればほとんどの駅にエレベーターやスロープがあり、車いすユーザーでも移動に困らないのですが、当時は違ったといいます。

どこに行くにもひと苦労。

苦労して乗った電車の中では白い目で見られ嫌な思いをする……

そんな毎日だったといいます。

当時サラリーマンだった三代さんは、ある時知り合いに勧められてハワイ旅行に行かれます。

そこにあったのはまるで別世界。

車いすで入れないお店を探すほうが難しいくらい、バリアフリーが充実していて人も暖かくて親切だったそうです。

ハワイに滞在していたある夜、三代さんはBARで1人で飲んでいました。

すると、ヤンチャな印象のお兄ちゃんが話しかけて来ました。

三代さんは驚き、身構えてしまったようですが、とてもフレンドリーで親しげに接してくれたそうです。

その後、一緒にダンスを楽しまれたそうで、その夜は楽しい夜を過ごされたと話されていました。

「一緒に踊ろう!」と誘われたときに、自分は踊れないよと断ったが、自分ができる範囲で自分らしく踊ったらいいじゃないかと言ってくれたのが、とても驚き、そして嬉しかったそうです‼️

 

日本にいると窮屈な思いをしてばかりだったが、一歩踏み出して行動してみると文化や考え方も違う世界や環境があることを知り、とても刺激になられたとか!

この経験は世界一周を目指す大きなきっかけになられたそうです。

そんな三代さんの座右の銘は、「知覚動考」(ちかくどうこう)だそうです。

これは禅や仏教の言葉だそうですが、簡単に説明すると、あれこれ考える前にまずは行動しよう!という意味だそうです。

ちなみに「知覚動考」を訓読みしてみると、(ともかくうごこう)となります。

三代さんは、僕の人生は行動しては挫折して、行動しては挫折しての繰り返しだとおっしゃられていました……でも、そのたびに立ち上がられてきました。

そんな三代さんの生きざまにたくさんの勇気と希望をいただきました。

貴重なお話しをありがとうございました。

 

第2部はグリスデイル・バリー・ジョシュアさんです。

『ACCESSIBLE JAPAN(行けるよ、ニッポン)』を運営しているグリスデイル・バリージョシュアさんは、脳性小児麻痺により車いすを使用して生活されています。

 

高校生の時に日本語の授業があり、日本に興味を持ったジョシュさんは、ずっと日本を訪れてみたいと思っていました。

しかし、ジョシュさんが高校生の頃にはいくら探しても日本のバリアフリー情報は無かったそうです。不安な気持ちもあったそうですが、高校卒業時にお父様と約1ヶ月間日本に滞在されました。

実際に来てみると日本は想像以上に良いところで、日本での生活に魅了され、2016年に日本国籍を取得されました。

自分が大好きな日本を、自分と同じように障がいのある人にも訪れてほしい!と始めたのが、海外の方に日本のバリアフリー情報を発信するwebサイト『ACCESSIBLE JAPAN(行けるよ、ニッポン)』です。

現在は都内の高齢者施設でお仕事をされていて、都内で生活されています。

ジョシュさんからは日本と海外のバリアフリーの現状について教えていただきました。

 

 

 

【日本のバリアフリーは素晴らしい!】

日本に住んでいると「日本のバリアフリーは他の国に比べて遅れている」とか、

「日本のバリアフリーはダメだ!」。

という声をよく聞くが、カナダ生まれのジョシュさんから見ると、決してそんなことはないようです…

ジョシュさんが初めて日本に訪れたのは25年ほど前のこと。

現在ほどサービスが充実していたわけではないが、いろいろと工夫されていて、その当時でも新幹線や電車に普通に乗れたし、いろんな所に行くことができたようです。

当時のカナダでは、1人では電車に乗ることもできなかったから、とても驚かれたそうです。

そして現在は東京オリンピック、パラリンピックの開催もあり、さらに見直され都会にいれば、ほとんどの駅にエレベーターやスロープがあり問題なく移動することができます。

そして、なんといっても日本はどこに行っても綺麗で清潔感があるとのことです。

例えば多目的トイレ!

海外では言葉で表現をするのも難しいぐらい汚いとか…それに比べると日本のトイレは綺麗すぎるそうです。

まだまだ改善点はあるかもしれないが、最近では多くの宿泊施設でバリアフリールームがあったり、施設内もバリアフリー対応しているホテルなども増え、宿泊施設なども選びやすくなってきたといいます。

ただ、海外の車いすユーザーが日本に旅行に来るにあたって、身体の障がい以上に障がいになっているのは情報や言語の問題だそうです。

最近では日本のホテルのサイトでも少しずつ英語版のご案内も増えてきたが、そこまでは充実していないとか…

 

特にバリアフリーに関しての情報を得るのは難しいようで、なかなか一歩を踏み出せないそうです。

その辺りがバリアフリー情報を発信するサービスをしているジョシュさん自身の課題であり、バリアフリー関連の「情報」というのが大切だと話されているのが印象的でした。

これは講演会で話されていた話しではないのですが、プライベートで連絡を取っているときにこんなお話しを聞いたことがあります。

日本のバリアフリーが遅れている…って言われてしまうのは、日本人は繊細でいろんな技術があるから、素晴らしいものを作ってしまう。

道路はどこもきれいに舗装されているし、段差なども少ないので車いすユーザー等、体が不自由な人でもなんとか生活できてしまう。

そのため、他の国や地域で同じようなことをやろうと思ったら何人もの手がかかるようなこともできてしまう。

そのため、人と人との距離感の近い国に比べ、人との距離を感じるのではないかと。

それが、日本のバリアフリーの評価が今ひとつだ…と言われてしまう理由かもしれないと…それを聞いてなるほどなと思いました。

 

ジョシュさんのご講演はデータなどに基づいて伝えられているものが多く、説得力がありとても分かりやすかったです。そして、ときにジョークも飛び出し会場が湧きました‼️

ジョシュさん、本当にありがとうございました。

(この日の写真は、脳梗塞後に片腕のカメラマンとしてご活躍の竹田喜一様が撮ってくださいました…素敵な写真をありがとうございました)

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